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人口減少対策なら、何でも許されるわけではない(笑)

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人心を惑わす新語・地方消滅

社会の急激な変化を受けていろんなコトバ(新語)がつくられます。そのなかの一部は、新語・流行語大賞として年末に表彰されたりします。聞き慣れない新語といっても、たいていのものは内容を詳し知れば、少なくとも理解はできます。

地方消滅

ごく最近まで、個人的に理解できずに悩んでいたのが「地方消滅」というコトバ。このコトバを広めた、元官僚で岩手県知事の増田寛也氏によれば、「人口が減れば地方が消滅」してしまうんだとか。

人が減れば地方が消える?

人が少なくなると、土地が消えてなくなるのでしょうか?それはSFの話(笑)。もし、そんなことがあるなら、「無人島」というのはありえない(笑)。

人が住まなくなった土地は、外国勢力に侵略されてしまうということでしょうか?それなら、ありうる話です。尖閣諸島なとはまさにそのパターンで、日本固有の領土が中国によって実効支配されかかっています。

しかし、上記増田氏の言う地方消滅というのは、そういう国防・安全保障の話というわけでもないようです。

 人口が減り続け、やがて人が住まなくなれば、その地域は消滅する。では、地域の「消滅可能性」は、いかなる指標で測ることができるだろうか。
 結論からいえば、今のところ確固たるものはない。国土交通省・国土審議会の「国土の長期展望」の「中間とりまとめ」では、個別の生活関連サービスが維持できなくなる人口規模についての一つのモデルが示されているが、人口減少により地域の社会経済や住民の生存基盤そのものが崩壊し、消滅に至るプロセスは明らかになっていない。

増田寛也編著『地方消滅』中公新書

どうやら、地方消滅というのは人口減少によって「個別の生活関連サービスが維持できなくなる」状態のことのようです。しかし、地域の社会経済や住民の生存基盤そのものが崩壊し、消滅に至るプロセスは「明らかになっていない」理由は、そもそも、そういうコンセプト自体がなかったからに他なりません(笑)。

ホントに、「崩壊」「消滅」してしまうのでしょうか?同書では、「30~39歳の女性人口」(次世代の人口動態を予測する指標となるから)をもとに、シミュレーションを展開することで、「プロセスを明らかに」していきます。

実態は、地方公務員救済策(笑)

この内容は、やらせ問題で話題となった『NHK・クローズアップ現代』でも取り上げられ(笑)世間の注目を集め、同書はベストセラーとなりました。が、どうも私自身は納得できず、「わからない」「理解できない」状態が続いていました。

ところが、先日読んだ本に、こんな記述がありました。

地方消滅と言えば、地方そのものが消滅してしまうようなショッキングな印象を与えますが、正確には、増田氏は人口減少により「今の単位の地方自治体が、今のまま経営ししていたら潰れる」ということを唱えているに過ぎません。あくまで人口減少が続き、半減したら、その自治体は今のままでは立ち行かないから消滅してしまうと言っているわけで、その地方から人そのものが消し飛んでしまうなんてことは書かれていません。つまり、地方消滅ではなく、「地方自治体の破綻」を彼なりの人口統計分析から警告を発したにすぎません。

上念司著・木下斉執筆協力『地方は消滅しない』宝島社

なるほど。これなら、よくわかる(笑)。はじめの引用文にある「生活関連サービスが維持できなくなる」とは、こういう意味だったのですね(笑)。

増田氏は、こうも書いていました。

 「地方中枢拠点都市」は、これから当面は引き潮の時期を迎える地方圏が踏みとどまるためのアンカー(錨)の役割を果たし、さらには地方から大都市へ向かう「人の流れ」を大きく変える役割を果たすことが期待される。
 こうした観点から、新たに法制化された「連携協約」により、市町村間での役割分担、ネットワーク形成を行う。地域経済ビジョンを共有して役割分担を行うことが各市町村の議会で決定された都市圏に対しては、各府省の政策資源を連携投入すべきである。具体的には、各府省の補助金、融資を優先的に配分したり、地方財政措置により安定的な財源を付与することが考えられる。

増田寛也編著『地方消滅』中公新書

これに対しても、手厳しい反論が(笑)。

人々は、自治体が人々の生活を支えるという「機能」のために納税しているのです。自治体のために地方に住んでいるわけでも、自治体を支えるために納税しているわけでもありません。

上念司著・木下斉執筆協力『地方は消滅しない』宝島社

まとめ

というわけで、「地方消滅」というコトバの意味がよく理解できました。なぜ、急にこんなことを言うようになったかも含めて。まさに、「プロパガンダ」以外の何物でもありません。と同時に、私にとって、増田寛也編著『地方消滅』中公新書は「トンデモ本」に入ることになりました(笑)。

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