老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

Read Article

下流老人への道

SPONSORED LINK

だれでも下流老人になりうる

現役時代から退職・老後に至るルートは、いくつか想定できます。

  • Aコース 正規社員→退職→十分な年金をもらって豊かな老後
  • Bコース 非正規社員・パート・アルバイト→退職→無年金・少額の年金で悲惨な老後

『下流老人』(朝日新書)の著者が想定する「下流老人」へのルートは、おもにBコースであり、社会には「Aコース」がしっかりと残っているという考えのようです。

下流老人

これに対して、

私の考えは、すでに「Aコース」というものは存在せず、たとえAコースを通ってきたとしても、著者の言う「下流老人」になる可能性は大きい、というものです。つまり、見方や想定は、著者よりも、よほどシビアです。本文にこんな記述があります。

「年金で足りない分は、働いてなんとかする」と考えている方は、相当な覚悟をしておく必要があるだろう。

藤田孝典『下流猟人』朝日新書

いくぶん脅迫めいた表現をまじえつつも、著者が年金制度を信頼して、「Aコースが存在しているんだ」と考えていることがわかります。これに対して、著者の言う「相当な覚悟」は、近未来の老人、ほぼ全員に必要ではないかというのが私の考えるところです。「年金で足りない分」というのは、誰の家計にも発生し、選択肢は「働いてなんとかする」以外に多くは存在しないことでしょう。

今は過度期で、シビアな現実が見えにくくなっています。「Aコース」のまま生涯を過ごすことができた人が、まだまだ生きていますので。それを見て、「オレの老後も、こんなもんだろう」などと考えてしまうのもムリのない話です。団塊の世代が後期高齢者になる頃から、厳しい現実は誰の目にも明らかになることでしょう。

理想と現実

著者は、「Bコース」を経て「下流老人」になってしまった人には、もっと公的な支援が必要だと主張します。が、現実には「生活保護」も縮小される一方であり、これからもこの傾向は続くだろうと、2015年の白書でも読み取れます。高齢者の数は、まだまだその絶対数が増加します。当然、「下流老人」の数も増えます。カネも、マンパワーも十分でない中で、満足のいく公的支援が可能なものか疑問です。

といった具合に、私の絶望的な見方は変わりませんが、ここでも「マイナンバー」が一定の機能をはたしてくれるかもしれません。同書にも、マイナンバー導入をふまえて、こう書かれています。

政府や自治体は、生活困窮者や下流老人の存在をよりはっきりつかめるはずだ。納税や社会保険料徴収作業の効率化のためだけでなく、最低生活費に満たない状況で生活している高齢者への生活保護の広報や情報告知にも活用してほしい。

前掲書

生活保護申請者に、一足早く、預金口座とのヒモ付けを義務づければ、「不正受給者」は劇的に減らせるはずです。また、2017年から始まるマイナポータルには、「現状で、その人に利用可能な公的サービス」が通知されます。これで、知っている人しか支援施策を受けられない「申請主義」の弊害も減らせるはずです。

まとめ

マイナンバー反対の人(マスコミも含めて)は、上記のような可能性をも否定することになると、知っておいてもらいたいものです。

Return Top