平成27年版厚生労働白書の正しい読み方
引き続き、白書ネタで(笑)。
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白書を読んでいると、バラバラの記憶がつながったり、忘れていたものを思い出したりと、それなりの効果があります。以前は、書籍版を買うしかなく、それなりにイタい出費でした。今は、全文をダウンロードでき、PCでもタブレットでも、スマホでも閲覧可能です。
健康保険標準月額の上限見直し
そういえば、2016年度から標準報酬月額の上限が、いっぺんに「3等級」も追加になります。上限は、現状の121万円が139万円にアップします。現状、47等級ですから、キリの良い「50等級」になります。標準賞与額についても、年間上限額が540万円から573万円になります。ひと昔前なら、「社会保険料負担は上限額が決まっているので、お金持ちに優しい」などと言われることがありましたが、今は、お金持ちこそが「ターゲット」になっています(笑)。
その一方、
国民健康保険では、2015年度から低所得者対策の強化のため、保険者支援制度の拡充(約1.700億円)が実施されます。
つまり、「高所得者の負担を強化して、低所得者を手厚く保護する」という考えがベースにあります。
介護保険の自己負担アップも、同じ考えがベースにあります。
介護保険制度を持続可能なものとしていくためには、低所得者も保険料を負担し続けることを可能にする必要があるが、現在の制度では、低所得者の保険料軽減は、他の被保険者の保険料負担を増加させることによってしか実施できない。
このため、新たに公費を投入して低所得者の保険料について現在の負担割合を更に引き下げる仕組みを制度化することにした。平成27年版厚生労働白書 417頁
一方、「介護保険・負担アップ」はこちらの記事をご参照ください。
参照記事
そして、公的年金にも同じ考えがベースにあるわけです。
消費税率の10%への引き上げが行われる2017年4月から、年金生活者支援給付金法による低所得者等への支援給付金の支給や、年金機能強化法の一部施行による受給資格期間の短縮が行われることとなっており、今後は、これらの着実な実施のための措置を講じていく。
平成27年版厚生労働白書 367頁
一方、
厚生年金保険料(国民年金保険料も)が、毎年アップしていることは、よく知られています。
参照記事
まとめ
白書からの引用箇所(年金・介護・医療)には、いずれも「低所得者」というコトバが出てきます。これまでは、「現役 vs年寄り」という構図になっていましたが、これからは年齢にかかわりなく「高所得者vs低所得者」になる、ということです。「年寄り」というだけで、誰もが手厚い社会保障を受けられた時代は終わりにします、ということです。