平成26年財政検証ではじめて登場した・オプション
こちらの記事に追加です。
正式発表された平成26年年金財政検証には、オプションというタイトルの「おまけ」がついています。これは何かといえば、「現状の年金制度を、こんなふうに改良を加えたら少しはマシになりますよ」という提言のようなものです。
なぜ、わざわざ財政検証と一緒に発表したかといえば、オプションのいくつかは「実施したい」という思惑があるからに他なりません。ここで、発表しておいて、ある程度の世論の反応を見たかった、ということです。
つまり、マスコミには、この「オプション」を報道してもらわないと話にならないのに、「世代間格差が拡大した」というピントのズレたことを伝えています。
では、財政検証オプションの中身とは?
その1・物価賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる調整をフルに発動する
マクロ経済スライドについては、このサイトにもたくさんの記事があります。そちらも、参考にしてください。マクロ経済スライドは、インフレ経済が前提ですから、法律施行以来、平成26年まで10年超実施されることはありませんでした。「世代間格差が拡大した」という報道も、ここに原因があります。
その2・被保険者をさらに拡大する
ちなみに、平成28年10月から適用拡大となる条件は以下のとおりです。
- ①週20時間以上の労働時間
- ②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
- ③勤務期間1年以上
- ④従業員501人以上
これをさらに、拡大しようというわけです。
- ケース1・月額5.8万円以上、週労働時間20時間以上(約220万人拡大)
- ケース2・月額5.8万円以上(約1200万人拡大)
その3・受給開始年齢の繰り下げ
70歳への繰り下げについては、こちらの記事で言及しました。
年金制度を抜本的に改革できるという発想自体が間違っています(1)
シミュレーションでは、65歳から70歳までの各ケース、細かいシミュレーションがあります。「いっぺんに5年分でなくても、1年分でも繰り下げ出来れば」ということなんでしょう。
以上、その1からその3まで、年金財政にとっては良いことばかりですから、「一定の改善(所得代替率のアップで示しています)」があるのは明らか。このうちどれかは、世間の反応を見つつ、いずれ実施されることになるのでしょう。もちろん、受給者の都合や思惑、予定などは全く関係ありません。
まとめ
その1からその3まで、被保険者・被保険者予備軍、経営者など、それなりの「騒ぎ」になってもおかしくない内容ですが、ピント外れの報道では、重要なことが伝わりません。