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年金問題について、エコノミストが語れば必ず間違うという法則

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いきなりですが、記事タイトルにある「必ず」というのは、訂正します。「高い確率で」と、しておいてください。反証がひとつでもあれば、「必ず」というコトバ使いはウソになりますので(笑)。ま、現タイトルの方がキャッチィなので、そのままにしておきます(笑)。

先日、経済評論家・上念司さんの本を読んでいますと、こんなくだりが。

2007年5月、民主党の追求により国民年金など公的年金保険料の納付記録漏れ問題が発覚しました。当時、約5000万件という数字に驚いた国民も多く、自民党の参院選の大惨敗を招く原因にもなりました。ここから衆参ねじれ国会が始まり、2009年に民主党旋風で政権交代が起こりました。

上念司『高学歴社員が組織を滅ぼす』PHP研究所

この流れの理解に特に間違いはありません。少なくとも、文章上は。ところが、年金記録問題についてふれた箇所に、こんな記述が。

OL

事の発端は、1997年に公的年金加入者に「基礎年金番号」を割り当てて一元管理しようとしたことにさかのぼります。この共通番号を付与する仕組みをしっかり運用すればよかったのですが、結婚して名前が変わったり、職員の入力ミスなどによって、年金記録が消滅する人が続出しました。

前掲書

短い記述の中に、多数の誤解や間違いがあります。

まず、年金記録問題は「基礎年金番号」の導入が発端ではありません。他の記事でもふれたとおり、国民年金と厚生年金・共済年金は、それぞれ別の制度でした。当時から、何度も転職を繰り返し、別の年金番号・年金手帳をひとりで、多数持っている人が大勢いました。

こういった状態を是正し、ひとつの番号のもとで一元管理するために、基礎年金番号が導入されたわけです。つまり、上記引用文中の「発端」は、基礎年金導入のずっと前にさかのぼります。基礎年金導入が「発端」という理解は、まったく逆です。

ちなみに、この基礎年金番号ですら2つも・3つも、お持ちの方もいます(笑)。

また、「結婚して名前が変わった」場合に、届出義務があるのは、本人または夫の勤務先の会社です。旧社会保険庁あるいは年金機構が、国民ひとりひとりについて、「姓が変わったこと」を知ることは不可能です。届出がない限り。

「職員の入力ミスなどによって、年金記録が消滅する人が続出」も間違い。「年金記録の消滅」という事態は、大部分が転職を繰り返した人の記録に連続性がない(別の番号を入手するのですから当然)ことが原因です。

また、「職員の入力ミス」というのも、大部分が本人または勤務先の事務処理ミスや知識不足が大半です。間違ったデータを入力すれば、「入力ミス」となります。このとき、申請主義もとでは、提出されたデータが正しいか・間違っているかは、確認のしようがありません。

こう書いてしまうと、旧社会保険庁や年金機構を擁護しているような印象をあたえてしまいますが、全くそんなつもりはありませんので(笑)。私は数千件規模の年金記録を確認した経験をもとにお話しているだけですので。

著者の記述は、「そういえば、マスコミがそういう報道をしていたな」といった域を出ません。つまりは、受け売り。

報道の受け売りと、日常の常識を延長した想像。さらに「年金もお金のことだから、オレたちにまかせておけ!」といった全能感といったものが複合的に絡み合った結果として、エコノミストが年金を語るとき、高い確率で間違っています(笑)。

年金は金融の問題ではなく、法律の体系ですから、「たぶんそうだろう」「きっと、そうに違いない」といった想像をベースに語ることは不可能なんです。

まとめ

上念司さんの、次の本は「社会保障関連」になるそうです。また、拝読の上、レポートしてみたいと思います(笑)。

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