老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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厚生年金は、2033年に破綻する?!

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直近の記事(年金積立金管理運用独立法人・ GPIFが国内債券離れの理由)に補足説明をしておきます。野口悠紀雄著『日本を破滅から救うための経済学』ダイヤモンド社の中から、「第4章・厚生年金は破綻する」に言及しましたので、「そうか、やっぱり厚生年金はハタンするんだな」と勘違いする人があるかもしれません。著者自身、タイトルとは違い、「破綻する」と結論づけているわけではありませんので。

将来、こんなことに!

野口先生の主張は、あくまでも「シミュレーションの結果、遠くない将来(具体的には2033年)に、厚生年金の積立金がなくなってしまうと予測される」というものです。たぶん、編集者の要望で「破綻する」というコトバが入ったのでしょう。雑誌(文藝春秋)発表当時、随分と話題になりました。単行本収録の際にも、「破綻する」は、ひきつがれたものと思われます。

破綻しないのなら問題ないか、といえば、全くそうではありません(笑)。前掲書に、こうあります。

2033年においては、給付費と拠出金は借入金で賄って給付を続ける場合の71.8%しか支出できない。支出可能率は次第に低まり、40年代には、6割程度に低下する。50年においては、半分近くに削減する必要が生じる。

前掲書170頁

つまり、積立金がなくなってしまった後、「年金給付は極端に減ってしまう」ということです。積立金がなくなっても、賦課方式の年金給付は継続可能です。野口先生のシミュレーションは、「2033年に積立金は底をつく」というもので、同じレベルで給付を続けるには、借金するしかない。「借入金で賄って給付を続ける」というのは、そういう意味です。

将来的には、今の人たちがもらっている年金の数分の一しかもらえない

という表現は、現実味をもってくるわけです。

ハタンするより悲惨

2014年現在の GPIF発表による残高は、シミュレーションの残高数値をうわまわっています。GPIF:137兆円、野口シミュレーション:125兆円。現実が「シミュレーション」に先行して、減っていた時期もありました。いわゆる「とんでも話」とは違います。

となれば、少々長生きしても年金保険料がもどってこないのは、ほぼ明らか。より若い世代ほど、「年金制度はハタンしてくれた方がオトク」ということになります。ハタンすれば、少なくとも、以後の保険料の徴収はありませんので。

シャケ

「もどってくる」「もどってこない」というのは、あまりにも下世話な表現。シャケではないのですから(笑)。経済学者の表現では、こうなります。

給付を財政検証の額よりも減額することの問題は、加入者が自分で運用した場合に比べて、収益率が低くなることだ。そもそも、人口減少社会における賦課方式年金は、本質的にこのような問題を抱えている。
すると、「なぜ強制加入の公的年金が必要なのか?」という疑問が生じる。自分で運用した場合に比べて不利になるにもかかわらず、加入を強制する合理的な理由は見当たらない。

前掲書 171頁

まとめ

一定年齢以上の人にとって、「至れり尽くせり」のシステムが、やがて「高い確率で集金するばかり」のシステムに。「今」が永遠に続くと考えていては、困ったことになりそうです。将来の高齢者は、「別の世界」を生きることになります。

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