生命保険の死亡時に受け取る保険金額は平均で273万円です。2014年の数値として、こちらの記事に示しました。よく見聞きする保障金額と比較すれば、きわめて少額です。その理由は、多額の保険金が支払われる期間は限定されており、終身契約であっても、そういった期間は途中で終了してしまうことによるものでした。いわば、雨の日には傘を貸さず、良く晴れた日にしか傘を貸してくれないようなものです。これが、保険会社の儲かる仕組み。
さらに儲かる仕組み
他にも、保険会社には儲かる仕組みがあります。それが、「標準生命表」です。各社が使用する死亡率をまとめたものです。生命保険会社はこの数値にもとづいて、保険料を計算します。2007年のものが、こちらで入手できます。保険数理のプロであるアクチュアリーと呼ばれる人たちによって作成されます。
一方、厚生労働省が発表しているのが「完全生命表」です。国民全体の死亡率を取ったものです。 第21回平成22年分が、こちらで入手できます。
標準生命表と完全生命表の違い
保険会社が使用する標準生命表は、厚生労働省統計の完全生命表と比較して、国民平均よりも、より多くの人が死亡するという前提で作成されています。つまり、標準生命表にもとづいて保険料を算出すれば、生命保険会社にとっては、より安全に、そして、加入者にとっては「割高」となります。
保険会社の収益源
保険料を決める要因として、死差益、利差益、費差益があります。
死差益とは、死亡や入院などの発生確率と比較して、実際の支払額が少なかったことによって得られる利益です。
利差益とは、預かった保険料などの運用が、予定されていた利率よりも高い利回りを出すことによって生じる利益です。
費差益とは、事業費として予定していたコストを経営努力によって下まわることによって生じる利益です。
圧倒的に多額の死差益
上記3つの収益源のうち、死差益の額が圧倒的です。理由は、標準生命表と完全生命表の違いからくるものです。さらにいえば、保険会社では加入できる(健康な)人を厳選しています。
まとめ
生命保険の死亡時に受け取る保険金額は平均で273万円にしかなりません。この数値をふまえた上で、まだ加入する必要があるものか慎重に検討したいところです。仮に必要があっても、人生のリスクは多くの場合、期間限定です。リスクのピーク(たとえば、子どもが就学中)を超えても、継続して加入し続ける必要はないのです。