老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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確定申告時に振り返る源泉徴収制度の知られざる起源

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3月といえば、確定申告。私は、ネットを利用しています。いわゆる、 e-taxというヤツです。会計ソフトに、普段からこまめにデータを入力しておくと、わずかの時間で処理はすべて完了します。

さよなら、住基カード

住基カード

これまで、e-taxには住基カードを利用してきましたが、これからは、マイナンバー制のメリットは何ですか?で取り上げたマイナンバーカードを利用することになります。カードをリーダーに読み込ませる作業は、変わりませんが。

画像引用元:住民基本台帳カード総合情報サイト・総務省

現状、労働人口全体からいえば、サラリーマン(勤め人)の人口が圧倒的です。老後の資金を年金に頼るという発想自体がなかったんですで、その歴史的変遷をご紹介したとおりです。つまり、確定申告をする人は、ごくマイナーな存在にすぎません。

確定申告をする人はマイナーです。

サラリーマンの場合、税金は毎月の給料から「天引き」され、面倒な事務作業をする必要はありません。せいぜいのところ、年末調整の書類を提出するくらいのものです。

ただし、これは日本だけの特殊事情です。諸外国では、納税はむしろ、「申告」があたりまえなのです。なぜ、日本が特殊かとえいば、日本には「給料からの源泉徴収制度」があるからです。もちろん、税の源泉徴収制度自体は、他の国でも存在しますが、「給料に源泉徴収がある」というのは特殊です。

給料から「強制的に徴収する」などということは、国の力がよほど強くなければ、成り立ちません。日本にも、そんな時代がありました。

源泉徴収制の起源

第二次大戦時、臨戦体制をとるために、政府は経済をはじめとする国民の社会活動を統制することにしました。具体的にいえば、国家総動員法が導入されました。税金(所得税)の「源泉徴収」が始まったのは、この流れのひとつです(1940年・世界初)。

「税金で出来るんなら、社会保険料も」という思いつきなのか(笑)、昭和17年(1942年)に、厚生年金制度が始まります。健康保険制度は、少し前から始まっていました。

このような展開の経済史家による評価を見ておきます。中村隆英著『日本経済・その成長と構造』(東京大学出版会)に、こんなくだりがあります。

平時においては実現しえなかった社会保険が戦時において体系化されたのは、戦時において動員された大量の労働力に対する最低の保障を行い、国民に「安心と希望」を与える(41年金光厚生大臣の議会説明)ことを目的としたためであった。

ドラマや映画では、第二次大戦前の日本は「物資不足で自由がなかった」というイメージで描かれることが多いですが、そのような時期は、統制経済体制下の短期間だけのことでした。だからこそ、「平時においては実現しえなかった」となっているわけです(笑)。

まとめ

税金と社会保険料の源泉徴収制度は、第2次大戦はもちろん、戦後のGHQによる占領時代をも生き延び、現在に至っています。戦後、サラリーマンの数が爆発的に増えたため、確定申告をする人は、労働人口のごくわずかとなってしまったのです。日本には、世界に誇るべき「国民皆保険制度・国民皆年金制度」があると、政府が自画自賛することがあります。背景に、「多くの人から強制的に保険料を取る」というシステム(源泉徴収制度)があるからこそ、なんです。

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