老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

Read Article

デフレ脱却を目指すアベノミクスは、年金とカンケイがあるのですか?

SPONSORED LINK

デフレからの脱却をテーマとするアベノミクスは、公的年金と大きくかかわっています。なかでも、マクロ経済スライドについては、 年金のマクロ経済スライドをわかりやすく説明してください(1)年金のマクロ経済スライドをわかりやすく説明してください(2)で、ふれています。参照してください。

くりかえしになりますが、マクロ経済スライドは、平成16年時点で新しく考えられた年金の給付をダウンさせる政策でした。この記事で説明するのは、デフレが進行するなかで、本来、やるべき政策、やらなくてはいけない政策さえもやってこなかったというお話です。

やらなくてはいけなかったこと

公的年金は原則として、物価や賃金がアップすれば、同じ比率でアップして、その価値や使い勝手を維持する仕組みになっています。ところが、アベノミクスで問題視するデフレという状況では、物価は継続的に下がり続けます。この場合、当然の理屈として、ルール上、公的年金の支給もダウンさせなくてはなりません。にもかかわらず、政府は「やるべきこと」をやってこなかったのです。

下のグラフを見てください。2本のグラフのうち、下側の点線が物価変動率で、上側の太線が年金の給付水準です。ルール上、この2つのグラフは、完全にシンクロ(連動)していなくてはなりません。しかし、一見しただけで明らかなとおり、全くそうなっていません。

本来水準と特例水準の年金額改定の推移グラフ

平成27年1月30日プレスリリース・平成27年度の年金額改正について

添付参考資料・本来水準と特例水準の年金額改定の推移

引用元:厚生労働省HP

ことの始まりは、平成11年度です。ここから物価は連続的に、下がり続けています。しかし、太線グラフの年金水準は、「そのまま」でした。実際に、年金水準グラフが下がり始めるのは、ようやく平成14年になってからです。

以後、当初の「対応しなかった期間のツケ」としての1.7%は、解消されないまま続き、途中の縮小・拡大を経て、ようやく平成27年度に終わることになります。

当初、「そのまま」で放置しておいた理由のひとつに、やはり受給者の反発を恐れたこともあったことでしょう。実際、支給額が1円でも下がることが明らかになった場合には、間髪を入れず、各地の年金事務所にはオープン前から、クレームのために多数の受給者たちが押し寄せます。私自身、実務者として何度も経験しています(笑)。

ちなみに、これらのクレーマーに対して、「今までのもらい過ぎが、解消されるだけの話なんですよ」などといった説明は、一切、受け付けてもらえません(笑)。

もう一度、グラフをみてください。太線グラフと点線グラフで囲まれた部分こそが、「本来は払わなくてもよかった年金支給総額」を象徴しているのです。

アベノミクスの導入がなければ、2つのグラフは交わることもなく、並行状態を続けていたかもしれません。年金財政にとっても、デフレ状態の終焉は、待望されていたことなのです。

まとめ

アベノミクスは、公的年金と深くかかわっています。そもそも年金制度というものは、インフレ経済、成長経済が前提ですから、デフレは想定外。いろんな不都合が出てくるわけです。

さて、ここで確認しておきます。この約15年間にわたるデフレ期間のあいだ、

  • 新政策としてのマクロ経済スライドの実行だけでなく、
  • やらなくてはならない調整さえも、やらなかった、

ということです。

このツケは、すべて次世代の受給者が引き受けることになります。

Return Top