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働き方改革とは?そもそもの目的と最新関連ニュース

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9月28日の衆議院解散によって、現安倍政権の目玉政策のひとつとされていた働き方改革の関連法案が全て棚上げとなってしまいました。

政府は働き方改革法案として、(1)残業時間の上限規制(2)同一労働同一賃金の導入(3)高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」導入などを一括提出する方針にしていました。

首相の外交日程などの影響で、臨時国会は11月中旬から12月上旬までの短期間となる見込みです。ただし、働き方改革法案に十分な審議時間を確保できるかは微妙です。

働き方改革とは?

話題の「働き方改革」について調べてみようと、関連本にいくつかあたってみたところ、「そもそも、働き方改革とは何か?」という定義づけをすっ飛ばして、いきなり長時間労働対策であるとか、生産性を上げるには?といった各論が展開されているものがほとんど。残念ながら、何の参考にもなりません(笑)。こういう場合は、元の政府関連資料にあたってみるのがイチバン。

検索の結果、平成29年3月28日付け『働き方改革実行計画(概要)』という資料(PDF)が出てきました。資料によると、現状の労働制度と働き方には3つの課題があると説かれています。

はじめに、正規・非正規の格差。所得格差や非正規社員の働く意欲をなくす要因。

次に、長時間労働。健康な状態を確保できないだけでなく、仕事と家庭の両立を困難にする。女性のキャリア形成を阻むことにもつながる。

3つめが、単独型キャリアパス。ステージに合った仕事の仕方を選択しにくい。

それぞれの対策として、

同一労働、同一賃金。非正規雇用者の処遇改善。最低賃金の引き上げ。

罰則付時間外労働の上限規制。労働生産性の向上。

柔軟な働き方がしやすい環境整備。病気の治療と仕事の両立。子育て・介護と仕事の両立。

となるわけです。残業の削減であるとか、テレワーク、高齢者の労働参加などは各論にすぎません。全くもって、「ごもっともな考え」なのです。が、このプランを進めていくことによって、

  • 企業は社員の残業代費用がカットできる
  • 年金だけで生活できない年寄りを死ぬまで働かせることが出来る
  • 家族による高齢者ケアによる介護費用や医療費の削減

など、経済界や政府に都合の良い結果をともなうことも確か(笑)。どさくさにまぎれて、「外国人材の受け入れ」などという、おおよそ上記文脈とは何の関係もないプランが、そっと挿入されていたりもします(笑)。

東京、神奈川、大阪、北海道、福岡など全国で最低賃金が上がります。平成29年10月1日から。

平成29年10月1日から、最低賃金が上がります。東京が958円。神奈川県が956円になります。ほぼ、1000円。大阪は一足早く、9月30日から909円で同じく900円台。全国平均が848円。

全国各都道府県の詳細は、こちらの厚生労働省のサイトから。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

最低賃金の引き上げも、働き方改革実行プランのひとつです。最低賃金を上げてしまえば、いかなる名目で人を雇おうと「正規採用」と差がなくなってしまいます。雇用形態による、賃金待遇の差別をなくすという政府の意図にそったものです。

いよいよ、人を雇うのに最低でも時間当たり1000円は必要な時代が近づきつつあります。この賃金水準が高いかと言えば、決してそんなことはなく、日本は先進国の中では、比較的低賃金の国です。この20年超の経済低迷と工場・企業の中国などアジアシフトにより、安い賃金に平準化してしまった結果です。

最低賃金に社会保険料適用範囲の拡大が加わって、「人を雇うコスト」はどんどん上がっていきます。日給や月給で賃金を支払う場合は、時給に換算する必要があります。また、最低賃金の計算に含めて良いもの、いけないもの、があります。

合算して良いもの:

役職手当、職務手当など。

合算してはいけないもの:

臨時に支払われる賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、残業手当、休日手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当など。

最低賃金を10ドルから15ドルに引き上げすると、米国大手量販店が発表

報道では、米国の大手量販店Targetが、チェーン小売店としては初めて最低賃金を15ドルに引き上げると発表しました。2020年を目途に実施される予定です。Targetは総合ディスカウントチェーン店で、現状の最低賃金は10ドル。と言いますから、このたび、平成29年10月1日から改定された日本で最低賃金最高値である、東京の最低賃金より上です。

米国の連邦最低賃金は2009年以降、長年にわたり7.25ドルで凍結していました。日本の改定全国平均が約850円ですから、ようやくこの時点に追いついたことになります。

2012年、低賃金を理由にニューヨークでファストフード店の従業員がストライキを起こしたのを機に、賃金引上げへの動きが全米に広がりました。市長選を予定していたシアトルが、米国で初めて最低賃金15ドルへの引き上げに応じたこともあります。

全米の独身者は少なくとも3.1万ドルの所得がないと、生活苦に陥ると推測されています。が、この数字は最低賃金15ドル、常勤で勤務していると仮定したもになります。

日本の最低賃金は、米国から見て「周回遅れ」。米国の平均賃金は、世界全体からみて、決して高い方ではありません。

日本の最低賃金は先進国で低い方に入ることが、確認できる報道です。

公務員とマスコミは、適用除外?

働き方改革による残業時間時間の規制を最も順守しないのが、関連法令を定める国家公務員とマスコミです。

国家公務員の場合さすがに実際の残業時間を全て報告し、手当を受け取ってしまうということはなく「サービス残業」か常態化しているとは言われています。が、問題は残業に伴う経費、例えば深夜のタクシー代金などが必要以上につかわれたり、常態化した残業を理由に都会の一等地に考えられないような賃料の官舎を用意したりとかいった問題があります。

マスコミについては民法はさておき、実質公務員と変わらないNHKでは、ずさんな管理の下、同じく深夜のタクシー代が湯水の如くに使われている実態が元関係者によって証言されています。

いかなる厳罰を用意しようとも、彼らの働き方が改革されるとは考えづらいところです。

働き方改革で経済成長?

平成29年版経済財政白書のサブタイトルは、「技術革新と働き方改革がもたらす新たな成長」となっています。技術改革はともかく、働き方改革そのものが経済成長を可能にしてくれるんだという自画自賛です。

ところで、働き方改革の主要政策項目のひとつに、「同一労働同一賃金」があります。正社員・非正社員の賃金格差は平均賃金の差よりも、同一職種での方がより大きくなります。しかも、大企業で勤続年数が長いほど差は大きくなります。白書によれば、この差は「人的資本の質と生産性」から来ているとしています。正社員は職業訓練の機会に恵まれ、労働者としての質や生産性をアップしやすいけれども、非正社員はそうではない。政府が示したガイドライン案では、基本給、昇給、ボーナス、各種手当など賃金だけでなく、教育訓練、福利厚生の待遇格差是正を求めています。

ここまで出来て、はじめて正規・非正規の差がなくなります。正社員もポジションにしがみつく必要がなくなり、多様な働き方が可能になります。

政府主導の残業削減ブームは会社に好都合

平成29年版経済財政白書は、残業時間が増え、固定化してしまう理由について分析しています。会社の立場からすれば、繁忙期に合わせて人を新たに雇用するよりも今いる社員に残業させた方が安上がりです。収入の少ない人からすれば、残業手当が稼げることは好都合で動機付けもしやすい。収入の多い人にすれば、残業を嫌って転職を計画したところで、リスクを考えると思いとどまり、残業を受け入れてしまうということになりがちです。

こういう状況下に、政府主導で「残業削減」をアピールしてもらえることは、会社にとっては好都合。本来の趣旨からすれば、生産性向上の結果としての残業削減であったハズなのに(笑)。低収入の人からすれば、大迷惑。残業手当を含めた総収入で、生活プランを立てている人は少なくありませんので。こういう不満への対処として、会社の「副業容認」があると考えると整理しやすい。

副業は、働き方改革が説く「多様な働き方」の趣旨にも合致しますし、老後不安への対応策にもなります。今後、ますます盛んになるに違いありません。

労働時間は短いほど、生産性は高くなる

働き方改革のひとつとして時短があります。電通事件が注目を集め、普段はそこまでやらない労基署がホンキを出して関係者が処分されました。その流れでの「残業カット」や「労働時間の短縮」というイメージが強いですが、平成29年版経済財政白書には、「国際的にみると、一人当たりの労働時間が短い国ほど、一人当たりの労働生産性が高いという相関関係がみられる」と明言されています。

具体例として、ドイツをあげています。ドイツの総労働時間は年間約1300時間で日本の約8割に相当します。その一方、一人あたりの労働生産性は、ドイツが日本の水準を50%近く上回っています。

つまり、労働時間の短縮や残業カットは、必ずしもマイナスポイントを改善するだけにとどまらず、やれば「それなりの御利益」が得られる取り組みということになります。

逆に、長時間労働には企業にとって何のメリットもありません。残業によって人件費はアップするし、世間の評判は悪くなって採用はし難くなる。心身の健康にも良くない。最近では、電通同様、中小零細企業にまで労基署が乗り込んできて、業務改善を指導されます。労働相談でも、対処法のアドバイスを求められることが多くなりました。以前では、考えられなかったことです。

65歳以上の追加就業希望増加は、統計上明らか

働き方改革は、これまで労働市場に参加してこなかった女性や高齢者にも就業を促すことになります。平成29年版経済財政白書には、なかでも「65歳以上の追加就業希望割合」が増加傾向にあることを伝えています。これは、年金だけでは生活できない高齢者が収入を補うことが

目的で、「働かざるを得ない」実情が表面化してきた結果に他なりません。加速する人手不足と高齢者の家計事情が相まって、労働参加が進んだカタチになります。

どうせ、高齢者になっても働かざるを得ない状況に追い込まれるなら、年を取ってからあわてるのではなく、前もって若い時から準備をしておきたいところです。同じく、働き方改革における政策のひとつとしての多様な働き方があります。その中に、「副業」が含まれていることは非常に示唆的です。ますます長くなる老後を年金と蓄えの切り崩しだけでやり過ごすことはムリな話で、「死ぬまで働く」しか手はありません。

ホントは怖い、働き方改革

NTTデータ経営研究所の調査によると、働き方改革に取り組む企業の割合は17年度、36.4%と2年前より14.2ポイント上昇。そうした企業の多くでは残業時間を減らしています。残業手当もカット出来ますから、人件費を削減となる会社にとっては好都合。

一方、社員にとっては定時に会社を追い出されるため、仕事を持ち帰る人も少なくないとのことです。が、これでは「働き方」は改革されません。本来の狙いは、生産性向上による労働時間短縮なのですから。

働き方改革は、国が推進し企業が便乗するカタチになっているので、個人としての社員がこの流れに上手く対応出来ないと間違いなく選別の対象となってしまいます。同じ内容の仕事をより短時間でこなすには、スキルの向上や時間管理のノウハウが要求されるはずで、イメージするよりもはるかに厳しい時代になったのかもしれません。

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