老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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25年から10年に、年金受給資格期間が変わりました。詳細は、年金受給資格期間短縮法という法律で決まっています。

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平成29年8月1日より、年金受給資格期間短縮法によって、年金をもらうための最低限の条件である受給資格期間が25年から10年に短縮されました。

その数、新たに少なくとも約64万人。8月1日に受給権が発生。翌9月分から支給され、実際に10月分から受給がスタートします。

そもそも、この改正は消費税の引き上げ(8%から10%)とセットになっており、消費税引上の延期とともに先延ばしとなっていました。

当初の消費税引上げ予定前の時点で、私自身が士業の行政協力の下、最寄りの年金事務所で手続事務処理の一部を担当しておりました。年金事務所の事務処理といえば、マスコミによる完全な誤報や悪意ある風説の流布を真に受けた相談者が多数押しかけるというケースが少なくない中、この件と関連するワークについては作業それ自体を以って感謝されてしまうという類マレなる良き思い出となっている次第です(笑)。

以下に、ポイントをまとめます。

年金加入期間が10年ある人の手続

年金加入期間が10年以上ある人には、平成29年3月から短縮用の「年金請求書」が送付されています。カラ期間を含めると10年になる方には、お知らせ文書が送付されています。

カラ期間とは、加入期間をカウントする場合には含めますが、年金支給額には反映されない期間のことを言います。

日本年金機構のサイトでは、以下の通りに説明されています。

(1)昭和61(1986)年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間

(2)平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間

(3)昭和36(1961)年4月以降海外に住んでいた期間

(1)~(3)のうち、任意加入を行い、保険料が未納となっている期間などがあります。(いずれも20歳以上60歳未満の期間)

カラ期間によって、年金がもらえる・もらえないがきまりますので、これまで以上に慎重な確認をすることになっています。平成29年8月1日以降に受給開始年齢をむかえ、年金加入期間が25年未満の人が老齢年金を請求する際、20歳以上60歳未満に未加入期間がある場合は、「年金未加入期間に関する申出書」を提出して、カラ期間を確認することになります。

加入期間が10年以上あるのに、年金請求書が届かない場合

原因として、以下が考えられます。

  • 基礎年金番号が交付されていない
  • 正しい住所が登録されていない
  • 正しい氏名が登録されていない
  • 年金記録が統合されていない

該当する場合は、年金事務所で記録や登録情報を訂正します。その上で、「年金請求書」によって請求することになります。

カラ期間の有無は、年金機構が把握するデータには反映されていません。怠けているからではなく(笑)、「確認作業」が必要ですので機械的に処理できないわけです。請求者本人が証明しなければなりません。

カラ期間を含めても、どうしても10年にはならない時には?

以下の制度が活用できないか確認してみてください。

任意加入制度

日本国内に住所がある人で、60歳から65歳になるまでの期間。

海外に住所がある人で、20歳から65歳になるまでの期間。もちろん、日本国籍を有する人に限る。

特例任意加入制度

昭和40年4月1日以前生まれの人で、65歳から70歳になるまでの期間。ただし、受給期間10年を満たすまで。満たした後は、この制度は使えません。

後納制度

20歳以上65歳未満の人で、5年以内に未納期間や未加入期間がある場合。

60歳以上65歳未満の人で、上記期間のほか任意加入中に未納期間がある場合。

65歳以上の人で、老齢年金の受給資格がなく特例任意加入中に未納期間がある場合。

「年金加入10年の原則」は、外国人にも適用されます。

年金をもらうための最低加入期間を10年にするという今回の改革は、外国人にも適用されてしまいます。「しまいます」という表現は、いささか不穏当かもしれません。が、考えてみてください。今まで、年金がもらえなかった人が年金をもらえるようになるわけですから、年金財政から見た場合、そうカンタンに容認できてしまう話ではありません。

年金給付のための原資は限られたものです。さらにいえば、経済成長が実現して現役世代の給料がアップしない限り、先細っていくことが予測されます。なにせ現役世代は、絶対数が減っていくのですから。

そういった「原資」を分け合う、あるいは分捕り合う(笑)ゲームに参加する人数だけをどんどん増やしてしまおうという話です。もともとの参加プレイヤーである受給者たる高齢者は、まだまだ絶対数がふえます。そこへ、「今までもらえなかった日本人」だけでなく「今までもらえなかった外国人」を参入させようという構想なんですから。

日本と社会保障協定を締結している国の年金受給に必要な最低加入期間も仮に10年とします。この場合、その国で5年・日本で5年、それぞれの年金制度に加入すれば、その国からも・日本からも年金がもらえるようになります。

日本が最低加入期間25年だった時代は、日本に短期滞在して年金保険料を支払った外国人は、脱退一時金をもらって国に帰っていました。

日本に住んでいると、とかく「もっとよこせ」的な声の絶えない日本の年金制度です。が、日本と比較して劣悪な年金支給レベルである国もあるはず。そんな国から日本にやって来て、しばらく社会保険料を支払いながら働けば、死ぬまで日本から年金がもらえてしまいます。

上記の例で言えば、日本9年・出身国1年でもいいわけです。さらにいえば、自国民の社会保障を負担するのが過重と考える国が「国策」で、日本に労働者を送り込んでこないとも限りません。

年金受給資格が「加入10年」になったことで、新たな受給権者が約73.5万人増えました。

生活保護受給者への対応は大変のようです。というのも、生活保護受給者に年金受給権が見つかると、その分だけ現状でもらっている金額が減らされてしまいます。しかも、本人からすれば余計な手間だけが増えるわけで何もオトクなことはありません。なかなか、「積極的に手続しよう」とはなりません。そもそも、この「年金10年」改革は、生活保護の支給費用を減額するというのが目的のひとつだったにもかかわらず。

遺族年金・障害年金をもらっている人は、新たな受給権が発生しても、「老齢年金はもらえない、年金額は増えない」と思い込んでいる人が少なくないようです。もちろん、併給調整はされますが、受給額が増えるケースもありますので、確認しておいた方が良いです。

加入10年で、いくらもらえる?

現行公的年金では、本来標準で40年加入することになっています。10年といえば、その4分の1。下記は、国民年金、厚生年金の加入年数と、もらえる年金額をまとめたものです。厚生年金に加入していれば、同時に、国民年金にも加入していることになっています。「10年以上」も参考までに。出典は、『月刊社労士9月号』です。

人によって受ける印象はさまざまで、「ま、そんなもんか」という金額かもしれませんが。きちんと手続をして、モレなくもらえるようにしておくべきです。金額は少なくても、連続して絶えることなく送金されてくるというのは、やはりスゴイことです。遠くない将来、医療費の窓口負担が間違いなくアップするはずで、高齢者の場合、固定費化してしまいます。加入歴が短く年金額が少なくても、「ありがたい」と感じる日が来るはずです。

日本人の日本人による「外国人のための」社会保障

株式会社社会保険研究所が運営するwebサイトに『年金時代』というのがあります。サイトの購読登録者は、業界関係者ばかりという「プロ・専門家向け」サイトです。過去の記事を閲覧していますと、本年7月21日掲載分に、下記のとおりの記載がありました。

公的年金 8月1日から国民年金の外国人適用の範囲見直し

厚生労働省は6月29日、通知「国民年金における外国人適用について」(年国発0629第4号・年管管発0629第1号 )を発出した。平成29年8月1日から年金の受給資格期間が短縮されることから、8月1日以降の国民年金の外国人適用の取り扱いを見直す。具体的には、外国人の職権による資格取得処理の対象者を住民基本台帳法の適用対象の外国人全員とし、届出勧奨を行った後も自主的な届出がない場合は、日本年金機構で当該外国人が住民基本台帳に記録された最も古い日を確認のうえ、その日にさかのぼって資格取得処理を行う。

ここまで、ニッチな情報はマスメディア・一般紙に掲載されることはありません。記事の意味するところは、こと年金受給に関しては、「日本人と外国人の取扱に別け隔てを設けない」ということです。次は、国保、協会けんぽと広がっていくに違いありません。政府の進める「移民受入推進策」とあいまって、本来、日本人のてめの社会保障が、どんどん外国人に侵食されていくことになるでしょう。

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