老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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年金のマクロ経済スライドをわかりやすく説明してください(1)

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年金のマクロ経済スライドとは、ズバリ、年金の支給を引き下げることに他なりません。本来、これで説明は終わりです(笑)。とはいえ、疑問がうかんできます。つまり、なぜ、

わざわざ、なぜこんな大袈裟なネーミングにしたのか?

ということです。これも答えは明らかで、「減額」とか「引き下げ」というコトバを使いたくなかったからです。年金関連法令の取扱は、政府が最も神経質に気を遣う問題です。なぜなら、年金をもらうような世代の人たちは、比較的、時間に余裕があり、投票を通じた選挙への参加率も他の世代と比較して、きわめて高いからなんです。年金問題で政権が引っ繰り返ったことは少なくありません。では、

ネーミングだけの問題で、実際は単純な「引き下げ」か?

といえば、これがそうではありません。実に、巧妙な仕組みになっています。公的年金は、物価や賃金がアップすれば、原則としては、それに連動してアップするようになっています。

例えば、物価が30%上がれば、年金の支給額も原則としては30%上がるようになっています。結果として、物価の変動にかかわらず、もらう年金の価値、「使い勝手」は常に維持されることになります。

こんなことは、今現在、働いている人から保険料を徴収して、それをそのまま年金として支給する「公的年金」だから出来ることで、民間金融機関の金融商品では、とてもマネできません。

何とか年金の支給をダウンさせたいと考えた政府は、この「年金が物価や賃金に連動してアップする」という仕組みを利用しようと考えました。

つまり、100%完全に連動させるのではなく、連動幅を一定限度までで止めてしまおうと考えたわけです。

こうすれば、なぜ良いか?

といえば、年金の絶対額は増えているのに、相対額を相対的に減らせるのです。誰の目にもあきらかで、わかりやすい、年金支給の絶対額の単純引き下げは、避けたかったということです。

下のグラフを見て下さい。細かい説明は無視して、グラフだけを。このグラフこそ、政府が構想したマクロ経済スライドの実行プランでした。

いっしょに検証!公的年金

マクロ経済スライド当初見込み

所得代替率の見通し
引用元:厚生労働省HP

右肩上がりになっています。絶対額は増額しているのです。一方、相対額は抑制されているのです。つまり、ホントはマクロ経済スライドによる抑制がなければ、グラフはもっと急角度な右肩あがりを描くことになるわけです。

「所得代替率」については、別の記事で詳しく説明します。

さて、これまでのお話で、

マクロ経済スライドには、ひとつの前提がある

のがわかりますか?それは、物価や賃金が継続的にアップし続ける状況でないと、機能しないということです。にもかかわらず、現在はデフレ経済が進行中で、政府の目論見とは逆に、物価が継続的に下がり続ける状況です。

結果として、マクロ経済スライドの仕組みは平成16年に出来たにもかかわらず、平成27年まで10年超の期間、一度も発動されずにきました。

絵に描いた餅

まさに、「絵に描いた餅」に他なりませんでした(笑)。

この影響は少なくありません。この期間、年金をもらっていた人は「本来よりも多めに」もらえていたわけですから。しかも、マクロ経済スライド実施期間も先のばしされたのです。

言うかでもなく、このツケはすべて次世代の年金受給者が引き受けることになります。

さて、平成27年1月30日になってようやく、27年4月分(受け取るのは6月)から、マクロ経済スライドが実行されるとの発表がなされました。当初の目論見どおり、年金の絶対額はアップするというカタチです。

デフレからの脱却、賃金のアップを掲げたアベノミクスのメインテーマは、年金問題とも深く、かかわっているのです。

まとめ

マクロ経済スライドは、政府から見て公的年金の支給を抑制する手法です。制度成立から、10年を超えて、ようやく実施されることになりました。この間、「実行されなかったことによるツケ」は、すべて次世代の年金受給者が引き受けざるを得ない、ということになります。

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