老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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年金支給漏れ600億円というけれど、事務処理ミスは共済年金。それでも、年金機構がタタかれるホントの理由とは?

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厚生労働省は9月13日、システムの不備や事務処理ミスで、1991年以降、公務員の妻ら約10万6千人に総額約600億円の年金の支給漏れがあったと発表しました。年金に一定額を上乗せする「振替加算」という制度で発生していると報道されています。

共済年金のミスは年金機構に関係ない

支給漏れ発生の内訳は、98%のケースにおいて「夫婦どちらかが公務員」であると伝えられています。要するに、これは「公務員の年金」に発生した事務処理ミスに他なりません。

共済年金と厚生年金は、別の制度です。共済年金の加入者は公務員。厚生年金の加入者は民間企業に勤務する会社員。この2つの制度にかかわる事務処理については、本来別の制度なんですから当然、別々に行われます。1991年と言えば、日本年金機構発足前で、厚生年金の事務処理を社会保険庁が担当していた時代です。

どうして、そんな時代の事務処理ミスまでをも日本年金機構が引き受けないといけないんでしょうか?この点、納得がいかないので、「ねんきんダイヤル」に電話して聞いてみました。

まず、「事実関係はおっしゃるとおり」との回答を得ました。つまり、ミスは共済年金で発生したものであるということです。

次に、「年金一元化以後の引き継ぎ・連携が上手くできていなかった」との説明がありました。年金一元化は、2015年10月に達成されました。それ以前の「1991年以降の給付」に関わっているハズがありません(笑)。

さらに、「振替加算」は基礎年金に加算される年金であるから、基礎年金を支給する年金機構に責任があると言われても仕方ないとのお返事でした(笑)。

非公務員型の公法人・日本年金機構と言ったところで、職員の多くは退職後、共済年金を受給します。自分たちの老後を守ってくれる共済年金をワルく言われたくないのかもしれません(笑)。

年金一元化の実態

そもそも、2015年10月の年金一元化は、事実上ハタンしていた共済年金を厚生年金と一緒にすることで救済することが目的でした。誇張でも何でもなく、当時の共済年金のサイトにそういう趣旨の文章が書かれていましたので(笑)。経緯からいって、もっと騒がれていても良かったハズですが、ほとんど世間の注目を集めることはありませんでした。全国でマイナンバーの通知が一斉に始まりましたので(笑)。逆に、マイナンバーの通知はなぜ、このスケジュールで行われることになったのか、検証が必要です。

一元化されたところで、共済年金には職域加算というオマケ部分もカタチを変えて残りました。また、共済は自分たちのデータを年金機構に明らかにしません。公務員が現役時代に受け取っていた給料額がほぼほぼわかってしまう報酬月額の履歴は、年金事務所からアクセスすることは出来ません。

一元化で救われた側の共済年金は、こういった実態です。自分たちに関わる法律を自分たちで決められるのですから、こうなるのも当然(笑)。

この「年金漏れ」をめぐって国会では閉会中審議が行われることで与野党一致したとのことです。森友加計問題で安倍政権転覆を狙った連中が、今度は年金問題で攻めようというわけです。民進党前原代表は、週刊誌にハニートラップ記事を報道され窮地に立たされていたところ、思いもかけない救いの手が差し伸べられた格好です。が、公務員組合は民進党にとって大きな支持母体のハズ。またしても、巨大ブーメランが飛来することが予測されます(笑)。

今回の支給モレには、時効は適用されません。対象が共済年金受給者ですもの(笑)。

今回の「年金支給モレ」について、加藤厚労大臣は語っています。

「年金機構を立ち上げて、様々な改革を進めてきた中で、こうした事案が生じたことは遺憾。閉会中審査が決まれば、真摯に対応し、今後の対応についても説明していきたい」

「今後の対応」について検討していただくのも結構ですが、ぜひ問題発生の原因も究明いていただきたいところです。さらに、経緯についても。

今回の「年金支給モレ」は、共済年金の事務処理ミスで、年金機構発足前の不祥事であることを公表いただきたい。

振替加算をめぐる支給漏れは、これまでにもたびたび起きていて、年金機構は個別に対応してきました。が、中には年金受給権の5年の時効を理由に未払いの全額が支払われないケースもあったと伝えられています。

厚生労働省は、今回の問題を受け、時効の適用はせずにすべての対象者に未払い分も支払うことを決めました。ナゼでしょうか?共済年金の受給者の中には、厚生労働省OBも含まれておりますので(笑)。

今回の「支給モレ」について、共済のミスであると指摘する報道もありました。

ひとつは9月16日付マグマグニュースで、こんな記述がありました。

振替加算は加算される場合は必ず老齢基礎年金(老齢基礎年金は日本年金機構から支給されるもの)に加算されるから、別制度である共済年金を貰っていてその共済年金に配偶者加給年金が付いていた場合は妻が65歳になったタイミングで日本年金機構に自ら申し出ないと自動では振替加算を付けられなかったんですね。配偶者加給年金の状況がわからないから。

もうひとつは、ラジオ番組ニッポン放送AM1242『ザ・ボイスそこまで言うか!』9月14日付放送(コメンテーター・有本香)でした。

今回の「支給モレ」は、数年前に大騒ぎとなった件とは、性質が異なることを指摘しておかないと、「またか」となりかねません。というか、すでになっていますが(笑)。報道する記者自身が、「またか」という前提で伝えているケースがほとんどです。

年金機構職員が受け取る年金は、共済ですから、「共済のミス」とは口にし難い。結果、年金機構だけが、極めて理不尽なカタチで信頼を失っていくことになります。

年金支給漏れ問題についての閉会中審査に向けて

民進党の大串博志衆議院議員は、webで9月17日に以下のコメントを発信しています。

今度の水曜日には、衆参の厚生労働委員会で、年金支給漏れ問題についての閉会中審査が行われる方向です。

それが開催されれば、衆議院の方では私も質疑に立つことになると思います。

今回発覚した年金支給漏れ問題は、約10万人、総額600億円にのぼる大規模なもの。その原因をまずはしっかり究明しなければなりません。

おっしゃるとおり、しっかりと「原因を究明」していただきたいと思います。ご自身が元公務員(元財務官僚)だからといって、民進党の支持母体に公務員組合の団体が多いからといって、今回の年金支給モレが「共済年金のミス」であることを隠したりしないようお願いしたいと思います。

報道によれば、日本年金機構が発足するはるかに以前の支給モレも発覚しています。何でもかんでも、年金機構のせいにしてしまうという「フェイクな情報」を拡散しないように願いたいところです。

公務員の“優遇年金”に「加算」必要か

9月24日の産経新聞web版に興味深い記事が掲載されていました。今回の「年金支給漏れ」は、公務員の年金制度(共済年金)における振替加算で発生したわけです。が、記事の主張は、「公務員の優遇年金に加算必要か」という問題提起をしつつ、あくまでも1人の社会保険労務士の意見だと前置きをしつつも、結論として、「恵まれた共済年金に加算は要らない」と結んでいました(笑)。

今回の事件発生を受けて、同趣旨の意見はネットの書き込みとして時々見かけることはありました。それも、事情が良くわかった人による書き込みとして。しかし、それを新聞の正式な記事として発信してしまったわけです(笑)。

多少なりとも事情がわかった人の正直なホンネに他なりません(笑)。さすがに産経新聞。他紙には、こんな記事は書けません。

ただ、さすがの産経新聞なんですが、記事中の記述に1箇所間違いがありました。下記が、その箇所になります。

官民格差の是正のため、共済制度は27年10月からなくなった。共済は厚生に一元化され、現役の公務員は自動的に厚生年金に移行。しかし65歳以上のOBは引き続き共済年金を受け取っており、加算制度自体も続いている。

共済年金制度がなくなったのは、共済が事実上ハタンしたからであって、決して「官民格差の是正のため」ではありません(笑)。私の個人的な意見ではなく、一元化前、共済年金サイトに記載がありました。「このままでは、やっていけません」といった趣旨で(笑)。

消えた年金 今回は公務員中心で即救済?

今回の年金支給漏れの該当者がほぼ全員公務員だったことは、かなり知られるようになりました。が、ネットの記事で「対象が公務員だから対応が早いんじゃないか」という、ある種やっかみのような発言がありました。

これは、いささかうがった見方と言えます。公務員の場合、転々と職を変えるということもありませんし、生年月日をゴマましたり、ウソの氏名をつかったりといったことがなく、データが整備されているから迅速に対応できるという面があります。今上げた3つは厚生年金の加入者に、よく見うけられた事例で、「消えた年金」発生原因の主要なものの3つです。また、厚生年金の場合、中小企業における担当者の知識不足が原因で年金記録がおかしくなったということは頻繁に起こっていました。

ただ、今回の支給漏れの原因は、ひとえに共済年金の事務処理ミスが原因であり、国会の閉会中審査でも具体的にその内容が報告されていました。共済年金では、振替加算対象者に対して、受給手続きの知らせをしていなかったことが判明しています。

年金支給漏れ問題 理事長ら5人の処分発表

年金の支給漏れが発覚した問題で、日本年金機構は9月29日、理事長ら5人の処分を発表しました。日本年金機構は、年金受給者に迷惑をかけたとして水島藤一郎理事長ら3人の役員について注意処分、給付担当の職員2人については訓告処分にしたとの発表がありました。また、監督責任がある厚生労働省も、年金局長ら計5人を口頭の厳重注意処分としたそうです。

騒いだわりには、それぞれ、「注意処分」「訓告処分」「厳重注意処分」と、減給処分にすらなっていません(笑)。もともとの事務処理ミスの根源である共済年金関係者は、何のお咎めもナシです。また、今回処分を受けた人は後に共済年金をもらうことになるんでしょう。

すべて、身内のお手盛りで手仕舞いとなったようです。

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