老後のおカネ

公的年金から、仮想通貨まで。

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大前研一『マネーはこれからどこへ向かうか』KADOKAWA

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ひとことで言って、誤解と知識不足、偏見と事実誤認のオンパレードといったところ。どこから手をつけて良いかわからないような内容であるが、まず、

ハイパーインフレになると、年金生活者が生活できなくなる

というのは、全くの誤解。日本の公的年金は物価上昇にスライドして、仮に激しいインフレが来ても、価値(使い勝手)は毀損しないように出来ている。この仕組みに一定のブレーキをかけようというのがマクロ年金スライドである。ただ、マクロ年金スライドは制度発足以来、たった1度しか実行されていない。これは、日本経済がまだデフレ下にあるためで、日本経済は著者が言うようなハイパーインフレを心配しなくてはならない状況ではない。著者の発言は二重に間違っている。

中国のパクリを見習え?

中国企業の多くが、シリコンバレーにある米国ハイテク企業やAirBnB(民泊)、Uber(白タク)などの技術やアイデアをいともカンタンにパクってしまう。著者曰く、日本もこれに見習え。まさに、凄まじいばかりの「シナ贔屓」である(笑)。世界中で、笑いものになっている「パクリ」をなぜ、わざわざ日本がマネしないといけないのか、全く理解できない。思えば、著者による「シナ贔屓」は、『チャイナ・インパクト』に始まる。多くの日本企業が、日本を代表するような有名企業までもが、まるで「ハーメルンの笛吹き男」について行ったネズミや子どもたちの如く、著者の吹く笛に踊らされ、大陸に進出してしまった(笑)。結果、多くの企業は法治主義の通用しない人治主義の支配に苦しめられ、かの国から出国しようにも出来ない有り様となっている。

シリコンバレーへの誤解

今だ著者には、シリコンバレーに対する誤解があるようだ。シリコンバレーという地域にあるハイテク企業の多くは、米国政府のバックアップを受けている。いわば、シリコンバレーは米国における一大公共投資地域であり、アメリカンドリームを目指す若者たちが、自分たちの創造力だけを頼りに裸一貫から起ち上げた企業が集積している地域という、ありがちのイメージとは全く異なる。しかも、米国政府の主たる目的は軍事転用技術の育成である。日本にシリコンバレー並みの場所をつくるとすれば、日本が軍事大国になるしか道はない。

その他、ロシアによる北方領土不法占拠の歴史的経緯など指摘すべき箇所は多数ある。さらに、著者が使用する「グローバリズム」や「ナショナリズム」という用語そのものも、大いに検証が必要である。

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