老後のおカネ

公的年金から、借金問題まで。

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西内啓『統計学が日本を救う』中公新書クラレ〜統計家が語る日本の社会保障〜

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話題の統計家が社会保障について論じているということで、読んでみました。国の社会保障費出費において3大構成要素となっているのは、「年金」「医療」「介護」です。著者が専門としていない「年金」について、ほとんど語っていないのは大変、好印象でした。ちなみに、経済の専門家と称する人たちは、年金法を確認することもなく推測で年金を語りますから、その発言は高い確率で間違っています。

高齢者が年金だけで何とかなったのは、過去の話です。

平成28年度版厚生労働白書によれば、60歳以上の男女のうち66%が65歳以降も働きたいと回答し、42%が70歳以降も働きたいと回答している。一方、人口に占める有業者の割合は、65歳以上では22%、あるいは70歳以上では14%でしかない。

リタイア世代の家計収支の統計によれば、支出が(公的年金などの)収入を上回って久しい。「公的年金で何とか暮らせた」というのは、明らかに過去の話となっています。

つまり、白書において「働きたい」と回答した高齢者というのは、「出来れば働きたい。その方が健康にも良いし。」といったニュアンスではなく、「働かざるをえない」状態に他なりません。ハタンするのは年金制度ではなく、老後の生活だということです。

有業者(実際に職にありつけている人)というのは、「誰かに雇われている」というよりも、「自分で自分を雇っている」ケースが少なくありません。高齢者の開業率は、年々、増えています。働かざるをえないけど、どこも雇ってくれるところがないから自営するしかない、といった具合。

年寄りになってから、そんな苦労はしたくない。若い時から、「自分で稼ぐ力」を身につけておくべきだ。ということで、空前のネットビジネス・副業ブーム(笑)。プレミアムフライデーという新しく始まった行事も、ホンネでは、こういった状況を後押しする動きと言えなくもありません。

高齢者の医療費は、死ぬ前1年間が最も高い

高齢者の医療費には23兆円ほどかかっていると述べたが、ここから単純に計算すれば2兆円以上、すなわち、日本の未来を左右する少子化対策に費やす税金を上回る金額が、そこから1年以内に失われる人命のために用いられている。
あるいはもっと意地の悪い言い方をすれば、1年の命にもつながらなかった医療のために、2兆円の医療費が費やされていることになるだろう。

国民一人あたりの医療費は、年齢が高くなるほど増えていきます。その大半は、65歳以上の人に使われています。なかでも、死亡前1年間の医療費は生存者の医療費の4倍にもなり、特に死亡前2ヶ月に集中しています。

こういった「医療費の使い方」は、明らかに他の諸国とは異なっているとの指摘をOECDから受けています。以前に紹介した、こういう本が刊行されるのも同じ事情です。

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