老後のおカネ

公的年金から、仮想通貨まで。

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『ライフシフト』、老齢化先進国の日本に住む人なら読んでおいた方が良いです。

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話題の本。ご近所のリアル書店でもランキングに入っていたので、早速、購入して通読。当サイトのテーマとも深く係るトピックス満載ということで、以下にネタバレを避けつつ、まとめてみました。

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読んでおいた方が良いです。

結論を先に言えば、この本は読んでおいた方が良いです。誰もが100歳まで生きる時代には、それにふさわしい覚悟や考え方が必要。この本は少なくとも、そういったものを提示しようと試みています。中には、「日本の公的年金の説明」など無知と誤解にもとづく記述もあります。が、そういった部分も、それなりに参考になります(笑)。

ライフシフトというタイトル

ハッキリ言って、何のことやら意味不明。同じ著者による『ワークシフト』という本が結構売れたんで、その読者たちにアピールしたかったのかも(笑)。もとの英文タイトル『THE 100 YEAR LIFE』の方が、よほどわかりやすい。

誰もが100歳まで生きる時代

所得の上昇と栄養の改善が実現した国々では、誰もが100歳まで生きる時代が来る。例えば、2007年生まれの子どもの過半数が到達する年齢は米国・英国・日本・イタリア・ドイツ・フランス・カナダ各国で、全て100歳を超える。中でも日本は、107歳とダントツ1位。テーマがテーマだけに、著者は「長寿国・日本」をかなり意識している様子で、日本語版には特別の序文を寄稿。ただ、「労働人口が減っていくので、移民を受け入れなさい」というアドバイスは受け入れ難い余計なお世話(笑)。

まずは命の次に大切な、おカネの話から

100歳まで生きることが、ある程度まで常識となれば、それまでの「人生モデル」ではやっていけないのは明らか。著者が、さまざまなシミュレーションを試みた後、たどり着いたのは「貯蓄だけで引退後の生活をまかなうのはムリ」という誰もが予測出来そうな結論。わざわざシミュレーションしないとわからないものなのか(笑)。というツッコミはさておき、ま、対策としては労働する期間を延ばすしかないわけで、結果、前倒しで「現役として働く期間のあり方」が激変することになります。

雇用の未来

そこで、「雇用の未来」という話になります。最近よく聞くようになった「AI(人工知能)によって消えてしまうかもしれない職業」という例のテーマが、ここでも展開されます。ただし、「どんな職業がダメになってしまう」という具体的な話は避けつつ、抽象的な警告どまり。

「オレの仕事をAIに出来るわけがない」「私の仕事は人間にしか成し得ないクリエイティブなもの」という考えの方は少なくありません。が、こういった人たちの仕事、キャリアこそキケン。要するに、AIの進化は人間がイメージする以上で、芸術など最も創造性豊かな領域まで人間に取って代わる可能性があります。同趣旨のことは、『アルゴリズムが世界を支配する』という著書でも語られています。同書によれば、すでにAIによる映画シナリオの製作が実現しており、確実に収益を上げているそうです。

米国大統領選挙。世界中の大手マスコミがこぞって予測を外す一方、AIは「トランプ大統領」を的中させたとのことです。

無形資産

著者は、有形資産と同様に無形資産が重要だと力説します。著書が言う無形資産とは、スキルや知識、肉体的・精神的健康と幸福。ま、このあたりまでなら「ありがち」ですが、ユニークなのは、100年もの長い時間の中で、変化・変身を遂げる能力にまで言及していること。そのために必要なのが、可用性に富む人的ネットワーク、新しい経験に柔軟に対応していけること、自分についてよく知っていること。

特に最後のポイントは、誰も指摘してこなかったことになりますから、関連ビジネスでひと儲け出来るかもしれません(笑)。

ムリのあるシミュレーション

ひととおりの理論を提示した後、著者は具体的な人物を想定してキャリアのシミュレーションを試みます。が、これがムリがあって、とても受け入れられない(笑)。他国のしかも近未来であることが理由であるのか、こんな日常がやって来るとはとてもイメージ出来るものではありません。実現するとしても、とても多数の人たちが経験するとは思えない。

人生のステージ

著者は、年齢にとらわれることのない人生の3つのステージを提示します。エクスプローラー、インデペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカー。

エクスプローラー

マイクロソフト製ネット閲覧ソフトではなく(笑)、探検者としての時期。日本で言うところの「自分探し」をする期間に近いかも。長い人生には、このエクスプローラー適齢期が3回あるというのが著者の考え。18~30歳、40代半ば、70~80歳。それぞれ、「フリーター」「中年フリーター」「徘徊老人」という日本語が当てはまってしまいそうになるようでは、考えが古い(笑)。100歳まで生きるのだから、70~80歳でエクスプローラーをやっていても計算は合うことになります(笑)。

インデペンデント・プロデューサー

大げさなネーミングですが、要するに自営業・起業家。日本では近未来において、公的年金だけでは不足する退職者の多くが、このステージを選択せざるを得ないはず。なので、もう少し詳しく語って欲しかったんですが、少々ピント外れ。高齢者でインデペンデント・プロデューサーを体験する人が増加することは著者も指摘するところ。ただ、このステージにいる期間には、大して稼げないというのが著者の意見。著者自身、考えを「シフト」させるべきかも(笑)。

ポートフォリオ・ワーカー

といっても、株関連の仕事をするわけではなく(笑)、多様な仕事を「ポートフォリオ的に組み合わせてこなしていく」というもの。組み合わせるのは、必ずしも仕事でなくても良く、ボランティアなど、おカネにならない活動も選択肢に成り得る。多重人格的な日々をおくることになるので、精神的なタフさが必要。これを支えるのが、著者の言う「無形資産」ということになります。

まとめ

寿命が伸びると、単に「引退後・老後の時間が長くなるだけのこと」と考えがちですが、これは間違いです。おカネ、生涯の収支が合いません。100歳まで生きるなら、なおさらのこと。

公的年金や企業年金、さらに貯えなどを合わせても、やり過ごすことは不可能。対策としては、伸びた寿命に合わせて働く期間も延ばすしかありません。また、高齢になってからの「働き方」が若かった頃と同じで良いとも考えにくい。AI(人工知能)を中心としたテクノロジーも進化して、働き方に影響するはずです。

結果、前倒しで若い頃からの対策が不可欠となり、キャリアそのもの、さらには人生全体が、「もっと寿命が短かった世代」と様変わりする。あるいは、「別の人生を生きる」ことになります。

この「別の人生」を明らかにし、上手な過ごし方を説いてみせたのが本書ということになります。別の国(英国)の、異なる職業(ビジネススクール教授)に就いている人の意見ですから、違和感を覚えたり、同意できない箇所も随分ありました。これから、読む人も同じだろうと思います。著者自身も、安易な同意など期待していないと明言するところです。

つまり、この本の価値は「近未来の生き方」についての答を教えてもらうということにはなく、自分で考えることにあります。そういえば、ユーミンが歌う歌詞に「人は自分を生きてゆくのだから」というのがありました(笑)。

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